東レに見る、これからの中国ビジネスの在り様

今後の世界経済を考える時、中国経済の鈍化が緩やかなものに止まること(ソフトランディングすること)を、切望したい。さてその中国だが、海外資本の進出に対し“線引き”を求め始めている。伝えられる中国高官らの発言を収斂すると、こんな具合である。

「自動車工場など(の進出)は、もういらない。ノンバンクなどの金融ビジネス等、中国の今後に不可欠な技術(商品)やノウハウビジネスの進出を歓迎する」

中国は紆余曲折がありながらも、所得水準の底上げの拡がりを勘案すると、今後とも成長を続ける巨大消費市場であることに変わりはあるまい。邦人企業は、「物真似大国・中国」の側面もあろうが、中国が望む形で中国投資をする必要が不可欠とならざるをえない。
その意味で注目したい企業が、東レである。

同社は既に上海に、国内と優劣付けがたい研究所施設体制を整備している。そこでは例えば、厳寒の地・中国に対応しうる専用繊維が現地スタッフも交え研究・開発されている。そして、極寒温度でも外出が可能な特殊繊維を織った服が生産されている。中国に役立つ存在感を印しているという点で、興味深い。

また今年早々には、こんなニュースが伝えられた。
「中国の水道水質に合わせて開発した、中国向け家庭用浄水器“トレビーノ”4タイプの発売を開始」
これも、現地での水道水質の調査を基に研究・開発されたものである。独自開発に関して東レでは、こう説明している。

*現状の中国の水道水質は日本の水道水に比べ、濁りの成分や有機物が多い。
*結果、浄水器の定期交換する部品のカートリッジが、短期で詰まり易くなってしまう。
*対応策として、ストロー状の糸の膜である“中空糸膜”の面積を国内使用品より大きくすることで、長持ちの工夫を凝らした製品を開発した。

ちなみに東レは初年度の売り上げ数量目標を、10万台としている。販売は、北京・上海・広州の大都市部。要はまず、富裕層を対象に、というわけである。4タイプの値段が日本円換算で、約6000円から3万1000円となれば商圏は当然限られる。
が東レは、こう見越しているのである。

「中国政府は不動産(住宅)バブルの抑制策を打つ一方で、より安い住宅の供給策に前向きな姿勢を見せている。政府供給!?の住宅の水は飲める代物となって当然。開発した中国専用の浄水器が量産できる下地が整えば、量産効果で価格の低下も図れる。商圏は拡がる」
今後の中国ビジネス深耕の、好例といえよう。

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